一般的にいうところの、人間の三大欲求って、食欲、性欲、睡眠欲なんですってね。

性欲を排泄欲とか集団欲に置き換えたりする人もいるみたいです。
そしたら、感動欲とか娯楽欲なんてのもあったりするんでしょうか。

そんな風に考えると世の中って、欲望に溢れてそうですよね。

欲望について考えるときに、いつも思うんですが、
一般的にいう三大欲求って、組み合わさることってないような気がします。

例えば、
ごはん食べながら寝たいとか、
寝ながらセックスしたいとか、
セックスしながら寝たいとか、
ごはん食べながらセックスしたいって
思う人は少ないんじゃないでしょうか?

そんなあなたに、食欲と性欲が共存するこの映画を。

○ 「ゼラチンシルバーLOVE」について

2008年の日本映画。
写真家として活躍する操上和美さんの初監督作品です。
操上さんは今年で83歳ですが、83歳とは思えないほど、スマートな方です。
この映画もすごくオシャレ。
もうオシャレの映画です。

主演は永瀬正敏さんと宮沢りえさん。

 

ストーリーは、簡単に言えば、サディスティックで危険な香りのするオシャレな女性をオシャレな男性が、オシャレに監視する内に、徐々に女性に魅了されていくというもの。
※ストーカーものではないです。

永瀬さんの演じる役どころはフォトグラファーなんですが、永瀬正敏×フォトグラファーの味がすごい。
最初は依頼でを受けて、仕方なく引き受けていた感の強い監視作業に、
徐々にのめり込んでいく描写もいいんです。
劇中で髪型が変わっていくのも注目。
髪型に疲労感があらわれる中井貴一さんに近いものがあるかと。

○ゆで卵

もうね、この映画はゆで卵といってもいいんじゃないかと思うんです。
ゆで卵の映画。
劇中で、宮沢さんがゆで卵を食べるシーンがあるんですが、これがなんといってもエロティックで。
棒アイスとかではないんですよ?
糸引いてるとか、そんなんでもなくて。
単なるゆで卵なんです。
まさか、ゆで卵をエロティックに仕上げるとは。
ゆで卵を時間をかけて食べるだけ。
単純な「食」しか存在しそうにないないのに、黄身と白身のコントラストが生み出すエロティック。
カメラワークやメイクのなせる技なのか、はたまた、宮沢りえ×ゆで卵の魔法か…
とにかく、この映画の、この瞬間には、食欲と性欲が見事に共存しているわけです!

劇中で、監視中にたまたまこの光景を見かけた、永瀬さんも唐突にゆで卵を茹で出したりして、
後半ではゆで卵について、長々と語ったりするんですよね。
これこそ、ゆで卵を食べたい欲(食欲)と宮沢さんへの愛(性欲)の融合ではないかと!

正直自分でも何を言ってるのか、よくわからないので、気になる方がいらっしゃったら、ぜひ一度観てみてください。
ゆで卵を。

(文/三田稔/三松文庫兼フォトグラファー)